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重修本草綱目啓蒙
十四/蔓草
黄環〈根名〉 狼跋子〈実名◯中略〉増、黄環ははまなたまめ(○○○○○○)なり、一名いそなたまめ、はまくずかづら〈薩州〉はまたてわき、〈阿州〉たちわき、〈土州〉南方暖国海浜の砂地に自生あり、春旧茎より葉お生ず、葛の類なり、葉茎に互生す、形葛の葉に似て円く、厚して三葉一帯なり、一葉の形柿葉に似て、面背共に光沢ありて、葛葉の褐毛多きに異なり、六七月葉間に数花簇生す、形ち刀豆(なたまめ)花に似て淡紫色、花後莢お結ぶこと、刀豆の莢に似て長さ僅に二三寸、中に実あり、各二粒或は三粒大さ六七分、淡褐色にして扁し、歳お経る者は根巨くして塊状おなす、集解蘇恭の説に取葛根誤食之吐利不止、土漿解之、此真黄環也と雖ども、根に限らず実お食ふ者も、必ず吐利して止まず、又弘景の説に、投水中魚無大小皆浮出而死と雲時は、苗根花実共に毒あるものと見ゆ、阿州海部郡土州海浜等にては、小児誤てこのねお炙り食ひ、毎毎に中ることあり、