[p.0328][p.0329]
重修本草綱目啓蒙
十二/湿草
蒺蔾 はまびし(○○○○)〈古今通名〉 しろひし(○○○○)〈古名〉 ひし(○○)〈勢州〉 一名秦尖〈輟耕録〉 即蔾〈救急本草〉 旱草〈〓雅〉 古冬非居塞〈月令採取〉 推升〈群芳譜、升推の誤、〉 臘居塞〈村家方〉 薋〈群芳譜〉水草の菱おひしと雲、蒺蔾子は菱に似て小なり、故に又ひしと雲、又鉄蒺蔾は鉄にて菱の形お製す、これもひしと雲、皆形によるなり、蒺蔾は海浜沙地に多し、山中には生ぜず、苗地に就て四布し直立せず、葉は大巣菜(からすえんどうの)葉に似て狭く厚く、深緑色にして毛あり、互生す、夏月葉間に五弁の黄花お開く、形蛇含花に似て大さ三分、花後子お結ぶ、大さ三分許、その形或は三角或は四角、角ごとに皆刺ありて人お刺す、五六子円にならび、一茎に生ず、生は緑色、熟すれば白色、秋に至りて苗根共に枯る、今薬四に売る所のもの皆真物なり、薬に入には刺お去る、沙菀蒺蔾は和産詳ならず、古来くさねむに充る説は穏ならず、