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大和本草
九/雑草
るうだ 蛮語なり、是南蛮るうだと雲、其葉麻及羅勒に似たり、左右に欠刻あり、蛮医このんで用之、腫物に葉おもみてぬるべし、よく腫毒お消す、又汗斑につくれば験あり、へび是おおそる、故へびのさしたる所に付ればよし、凡諸毒虫のさしたるに付べし、功能多し、園に栽べし臭気あり、葉零陵香に似たりといへども別の物也、中華より来る零陵香は別也、秋初花さき秋季みのる、春子おまく冬は枯る、又宿根より生ず、寛永の初、此種南蛮より来る、中華の草に非ず、今処々にあり、俗に耆波三礼草と雲、此草お服すれば山嵐の瘴気に感ぜず、時疫はやる時、此草お門戸にかくれば其災お免る、熱病時疫又労瘵の病人お介保する人これおおび、又もみて鼻孔にぬれば染ず、山に入て此草お帯れば毒虫さヽず、さしてもはれず、これお厠中に投ずれば虫生ぜず、これお食すれば五辛の葷臭お除く、痘瘡出しきりに痒く、百方不効、此草おぶだう酒にてせんじ、瘡頭にぬる忽効あり、