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重修本草綱目啓蒙
七/山草
遠志 ひめはぎ(○○○○) こぐさ(○○○) しばはぎ(○○○○) すヾめはぎ(○○○○○)〈江戸花家〉 のちや(○○○)〈筑前〉 一名醒心杖〈輟耕録〉 〓〈詩経〉 苦〓〈通雅〉 阿隻草〈郷薬本草〉 〓草〈品字揃葉の名〉 増棘〓〈爾雅〉 蕀苑〈博雅〉 蕀宛〈事物異名〉 心天〈清異録〉醒心杖の名は、已に釈名時珍の説に見えたり、山野陽地に多し、苗高さ二三寸許、一根数茎、茎ごとに数枝お分ち、葉互生す、形円小黄楊(ひめつげ)葉に似て薄く、深緑色冬お経て枯れず、霜お被るものは紫色なり、三月葉間に深紫色の花お簇生す、胡枝(はぎ)子花に類して、中に蕊多し、又淡紫色、白紫、間色、白色の者あり、花後実お結ぶ、形円扁、大さ二三分、楡銭(にれのみ)の形に似たり、内に小扁子あり、一種細葉の者あり、佳品とす、又一種大葉の者あり、高さ一尺許、葉も亦大にして、五六分許、花も大なり、市中に販ぐもの、舶来にひめ遠志(○○○○)と呼ぶものあり、根柔軟にして滋潤、薬用良とす、是和産細葉の者なるべし、又おに遠志(○○○○)と呼ぶものあり、根堅強にして滋潤ならず、下品なり、是和産大葉の者なるべし、然ども和産は皆根狭細にして、入用に堪へず、又朝鮮遠志(○○○○)は形大にして〓し、亦下品なり、