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大和本草
八/蔓草
紫葛 本草蔓草門に出づ、根紫色春生じ冬枯といへり、和名がねぶ(○○○)と雲、是亦蒲萄に似たり、本草に根皮癰腫悪瘡お治す、搗末醋和封之と雲へり、是押薬なり、和方一切無名腫毒に、がねぶの根の末糯米粉と等分、温湯に調和し、患処に付る、熱毒には勿用、忌鉄、或酒に和して付る〓方也、甚験あり、又救荒本草蛇葡萄あり、三才図絵草木第十巻有蛇萄、是亦紫葛なるべし、蔓生葉似菊而小花、結子如豌豆といへり、がねぶは根の味しぶし、根に粉あり、からみには粉なし、からみは葉の岐ふかく、がねぶは浅し、或曰、嫩葉老葉かはる故に浅深あり、からみは多く、がねぶは少し、からみよりも蒲萄によく似たるはがねぶ也、