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重修本草綱目啓蒙
十五/蔓草
烏蘞苺 ひさごづる(○○○○○)〈和名抄〉 びんぼづる(○○○○○) びんぼうかづら(○○○○○○○) ふくづる(○○○○) 五葉かづら(○○○○○) かきどおし(○○○○○)〈河州〉 やぶからし(○○○○○) 一名珠子草〈名医指掌〉 猪穢草〈同上〉 疎母藤〈秘方集験〉 五竜草〈本草述〉 五葉藤〈附方〉 五葉草〈〓薟附方〉 黒蘞〈正字通〉 随地皆生ず、春末宿根より苗お生ず、初出藤葉共に赤黒色、漸く長じて淡緑色に変ず、葉互生す、葉ごとに鬚ありて纏摎す、其葉一枝五葉、人参葉に似て鋸歯あり、中の一葉猶長し、夏に至り藤蔓甚繁延す、故にやぶからし(○○○○○)と雲ふ、六七月枝梢ごとに叉お分ち花お開く、四弁緑色、大さ一分余、中心黄赤色四蘂あり、後円実お結ぶ、大さ南天燭子の如し、生は緑色、熟すれば黒色、秋深て苗枯れ、根は枯れず、長くして藤蔓の如く褐色なり、寸断するも春に至て猶苗お生ず、此草和州南都越後高田越前鯖江土州高智等の地には生ぜずと雲ふ、