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大和本草
七/花草
蜀葵(あふひ) 五月に花さく、茎高数尺、花はむくげに似て、深紅浅紅紫黒白色単葉千葉あり可玩賞、鮮紅最よし、宿根より生ず、又子おまきて生ずるは、二年にして花さく、其くきお水に二日ひたし、皮おとりてなはとし、又布とすべし、枯たる茎おやきて灰とし、火おおさめて久しくきえず、是酉陽雑俎の説なり、〈◯中略〉錦葵(ぜにあふひ) 本草綱目蜀葵集解にのせたり、又銭葵と雲、冬葵(○○)に似て別なり、冬葵は葉に岐ありて五にわかる、錦葵は葉円にして岐なし、錦葵は其花紅紫白数色あり、四五月に開く、銭の大のごとし、実おうへて翌年茎不高花さく、三年おふれば茎高く、枝多くしてあしヽ、