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重修本草綱目啓蒙
十一/湿草
黄蜀葵 とろヽ(○○○) かみのき(○○○○) おヽすけ(○○○○)〈筑前〉 かうづ(○○○)〈丹波〉 かみとろろ(○○○○○) かぼちやあさがほ(○○○○○○○○) ふのり(○○○)〈予州〉 京のふのり(○○○○○)〈土州〉 京ぶのり(○○○○)〈同上〉 ねり(○○)〈能州〉 おヽれん(○○○○)〈肥前〉 とろヽあふひ(○○○○○○)〈勢州〉 とろ〳〵(○○○○)〈同上〉 びなんさう(○○○○○)〈雲州〉 一名秋葵〈女南甫史〉 一日花〈郷薬本草〉 鍍金木槿〈事物紺珠〉春月実お下す、初生の葉は三尖にして鋸歯ありて葵葉の如し、漸く長じて出る葉は、五尖にして〈綵瓜(へちまの)葉の形に類す、梢葉は刻欠漸く深くなりて、大麻(あさの)葉の如し、故に集解に開岐〉—有五尖、如人爪形と雲、茎は直にして高さ二三尺、葉互生す、秋に至て葉間ごとに一花お開く、朝に開き夕に萎む、其花五弁、淡黄色にして弁根深紫色、草綿(わたの)花に似て大さ二三寸、こヽに六弁と雲は非なり、花後角お結ぶ、桐実の形の如くにして五稜あり、こヽに六稜と雲は非なり、角に毛茸あり、生は青く熟して黒し、自ら綻て五に分る、内に五隔あり、隔内ごとに小子多し、形苘麻(いちびの)子に似て、褐色にして微黒お帯ぶ、猴頭の態あり、因て今俗にさるごま(○○○○)と雲、子熟する時苗根共に枯る、其根葵根の如く白色なり、此根お採り還魂紙〈天工開物〉の粘りに用ゆ、一種苗大なる者あり、其高さ六七尺、葉亦大なり、花大さ三四寸、此品は唯種て花お賞す、花戸にておほかうづと雲、にちいさう、ちようせんあさがほ、〈江州〉とうあさがほ、さんかつさう、〈播州〉秋葵、