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重修本草綱目啓蒙
二十五/灌木
木綿 ぱんや 一名攀桂花〈明一統志〉 綿樹〈潜確類書〉 劫貝〈通雅〉 板枝花〈類書纂要、板は攀の略字、〉 瓊枝〈群芳譜〉 迦婆羅〈正字通〉草綿 きわた とうわた わた 一名棉〈群芳譜〉 家貝〈通雅〉 綿花〈秘伝花鏡〉 木綿草〈書隠叢説〉 子花〈東西洋考〉 吉貝花〈同上〉 無縫綿〈河間府志〉木綿草綿の別あり、木綿はばんや、草綿はとうわた、即今本邦に栽ゆる所の者なり、時珍の説には、草木通じて木綿とす、故に木綿有草木二種と雲、似木之木綿、似草之木綿と雲、其名紛はし、典籍便覧、広東新語等には、草綿木綿お分つ、宜しく従ふべし、〈◯中略〉草綿(○○)は今諸国に栽ゆるわたなり、〈◯中略〉唐山にても宋の初時、南蛮より始て江南に来ると雲、其草高さ三四尺、枝葉互生、葉三五きれこみて、つたもみぢの葉の如し、秋に入て葉間に花お開く、五出浅黄色、弁心ごとに深紫色ありて、黄蜀葵(とろろの)花の如し、後実お結ぶ、形桃実の如し、俗にもヽと呼ぶ、唐山にても、花桃、〈群芳譜〉又花鈴子〈松江府志〉と雲、又内に綿なきものあり、僵囊〈松江府志〉と雲、熟する時雨ふらざる時は、もヽ開き綿お吐く、潔白にして中に種子あり、わたヾねと呼ぶ、是お白綿子、〈東医宝鑑〉綿纏子〈同上〉と雲、又赤花なる者あり、晩種なり、尋常の者は早種なり、又近年蛮産の草綿お伝へ栽ゆ、苗長さ丈余に及ぶ、種子小にして小豆の如く褐色なり、尋常の者は子円大にして色黒し、綿と子と粘して離れ難し、故に〓車(わたくり)にかけて〓お去る、蛮種の子は綿と自ら離て綿も尋常の者より強く、布に織て益あり、