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大和本草
六/民用草
〓麻 又〓麻白麻とも雲、倭名こさいば(○○○○)と雲、葉桐に似て花黄なり、実は農家の唐臼の半の如し、茎の高五六尺、本草綱目湿草上にあり、皮おとりて麻とし布におる、又縄に用ゆ、本草に茎は硫黄おつけて、ともし火とすとあり、発燭(つけたけ)に用ゆべしと也、又黒染に用ゆ、別に赤かしはと雲木あり、是も黒染にす、是又赤ございばと雲同名異物なり、葉は似たり、又一種葉似香薷而大に、茎円く高二三尺、其皮可為縄、葉柔にねばりあり、秋花お開く、是亦〓麻の類なり、いちび(○○○) 葉は麻に似たり、又午時紅の葉に似て、実は木いちごに似たり、故にいちびと雲、〓麻と一類二物なり、是も皮おとりて苧のごとくに用ゆ、農人甫につくりて利とす、藻塩草に〓(けい)実おいちびと訓ず、あやまれり、〓麻といちびは別也、又先輩補骨脂おいちびと訓ず、甚あやまれり、