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秉燭譚

〓麻の事土佐儒官緒方宗哲談ず、国にいちびと雲ものあり、其状如麻、その皮舟の纜につくるべし、いちび縄と雲て、海人猶これお貴ぶ、其穣麻稗のごとく甚白色なり、火お〓すれば火縄とすべし、本草にのする〓麻なりと、因て本草お考に、果してその通りなり、中庸絅衣の章の大全お見れば、又作〓て、即この物なり、しかれば麻の一種とみえたり、後に人の話お聞けば、土州にかぎらず海南の諸州には、いちび縄お用ゆと、また藻塩草お撿すれば〓麻とありて、いちびと訓ず、昔の人もよくわきまへしれるにこそ、