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大和本草
七/花草
夜落金銭(ごじくは)〈◯中略〉 今案紅白二色あり、紅お金銭花(○○○)と雲、一名午時紅、瓶史に見えたり、倭俗午時(ごじ)花と雲、又金盞花おも和俗金銭花と雲、同名異物也、午時紅は葉はきいちごの葉、又いちびの葉によく似てさきとがり、本小なる椏あり、初生する時小葉四にわかる、茎長きは二尺にいたる、花は七八月に開く、大さ銭のごとし、紅にして内ふくらなり、蘂二重あり、毎節枝生じて花開く、午時に開き其夜半おつ、故又子午花と雲、寒月には夜花不落して昼まであり、牽牛花のごとし、人家往々花園にうふ、青虫多し去るべし、花落て後久しくしぼまず、あつめて見るに堪たり、又花お散すに皆仰く、一も俯かず、苗長じて時々魚汁おそそぐべし、此草金銀共に本草に不載、銀銭花(○○○) 花鏡農甫六書等にのせたり、午時紅の花白き也、茎葉少異れり、京都北野にあり、北野にても銀銭花と雲、金銀共に好花なり、何も冬は根枯る、春実おまきて生ず、金銭花は多く銀銭花はまれ也、