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大和本草
九/雑草
おとぎり草(○○○○○) 葉は柳の如にして短し、花は黄色にして小なり、秋開く高二尺許、其葉おもみて其汁お金瘡にぬりて血お止む、又鷹の病と犬の病お治す、其葉おもめば黄色の汁いづ、唐よりわたる、絵の具綿咽脂(えんじ)と雲物あり、俗に生咽脂(しやうえんじ)と雲紫色なり、此草の生葉おしぼりて汁お綿にひたせるなりと雲、日本に近年漸此草の汁なる事おしれり、多くとらざれば用るほど無之、本草臙脂の集解に、種々草花の汁に綿お染てべにとする法あり、又蘇木の煎汁に胡粉おひたし、綿にぬりたるおも生えんじと雲、それは似せもの也、真にあらず、正真はおときり草の汁と雲、生臙脂お以て血おとむるに甚効あり、おとぎり草の汁なればなり、本草湿草下に蛇銜草あり、おとぎり草に似たり、其異同未詳、又或人これお劉寄奴なるべしと雲、本草劉寄奴の集解、時珍が説、略おときり草に似たり、又未詳、