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重修本草綱目啓蒙
十二/湿草
紫花地丁(○○○○) すみれ(○○○)〈和名抄〉 ひとよぐさ(○○○○○)〈古歌〉 ひとばぐさ(○○○○○)〈同上〉 こまひきくさ(○○○○○○)〈筑後〉 京のむま(○○○○)〈筑前〉 とのヽむま(○○○○○)〈同上、通泉草も肥前にて、とのヽむまと雲、同名なり、〉 とのむま(○○○○)〈薩州〉 すも(○○)とりぐさ(○○○○)〈京〉 すもとりばな(○○○○○○)〈同上〉 かぎとりばな(○○○○○○)〈仙台〉 かぎひきばな(○○○○○○)〈同上〉 きヽやうぐさ(○○○○○○)〈泉州〉 あごかきばな(○○○○○○)〈越後〉 かぎばな(○○○○)〈讃州〉 一名菫菫菜〈救荒本草〉 金芹菜〈物理小識〉 草角子〈山東通志〉随地皆あり、葉長く叢生す、葉似柳と集解にも雲り、陽地にあれば春早く正月よりも花開く、深紫色又浅紫花白花のものあり、葉形花色と地に因て各異なり、一種円葉の者あり、又数品あり、草生藤生の異あり、総じてこまのつめと雲ふ、古歌につぼすみれと雲ふ、これ菫菜なり、又一種黄花のものおきすみれと雲ふ、即菫菜の一種なり、加州白山、和州芳野等に産す、葉形円かにして尖り、鋸歯ありて光沢なり、花は黄色五弁の中一弁紫黒色にして光あり、又一種叡山すみれあり、葉形あさもみぢの葉に似て大なり、花は淡紫色、即雑草類に載する所の胡菫草是なり、一種紫背のすみれあり、救荒本草に載る所の匙頭菜也、以上二品皆幽谷に生ず、