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重修本草綱目啓蒙
八/山草
前胡 こまぜり(○○○○) のぜり(○○○) たにぜり(○○○○) みつばくさ(○○○○○)〈延喜式〉 うたな(○○○) むまぜり(○○○○) やまぜり(○○○○) のだけ(○○○)〈筑前〉今は通名 一名西天蔓〈輟耕録〉 蜘香菜〈郷薬本草〉 全胡〈痰火点雪〉 射香菜〈村家方〉向陽の山野に多く生ず、初て生ずるものは、隻三葉なる故に、みつばぐさと雲、長ずるに随ひ数岐お分ち大になり、大抵二活の輩に類して同じからず、薹お起すものは高さ七八尺葉互生す、秋に至り枝端に花お開く、胡蘿蔔の如く傘お成て簇生す、紫黒色又白色なる者あり、一種細葉の前胡(○○○○○)あり、和州に多し、葉細長く岐多くして、当帰葉の如し、花実の形状は異ならず、市中に舶来の者希にあり、和は和州より多く出す、又田舎前胡(○○○○)と呼ものは黒色にして下品なり、又若州及び江州の朽木葛川より出すものは、堅実にして薟味あり、甚下品なり、凡て陳久なるものは悪し、