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草木六部耕種法
十/需花
桜草も作法同様なりと雖ども、〈真土野お論ずるに及ばず、少しく砂の交たるに、馬屎干鰛油糟酒糟、及び厩肥の能蒸て粉に成たるお、耕交置て植べし、〉此物は種類頗多く、又雪割草と雲も有り、俗に小桜と呼ぶ、日光山に多し、葉も花も小くして淡紅なり、又ほうどきと称する有り、茎葉頗大に紅白黄の三色あり、出羽奥州に甚多し、此お作るには野土の粘らざるもの一荷に、炙日泥〈培養秘録に詳なり〉一荷、鶏糞五升、鰛粉五升、以上四種共能耕交たるお花壇の如くに置て、二月初旬に其根お分け植うべし、或は馬溺お澆ば花多しと雲ふ説有り、然れども肥養の過たるも宜しからざること有り、