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重修本草綱目啓蒙
八/山草
白前 すヾめのおこげ(○○○○○○○)白微の一種なり、春宿根より苗お生ず、一科数茎高さ一尺余、葉は形ち楕にして忍冬(すひかづら)葉の如く対生す、茎と共に微毛あり、四五月梢葉間に数花お開く、形白微の花に似て小く白色なり、根も亦相似り、一種黄花なる者あり、始は草本なり、後は蔓草となる、一種始より蔓生なる者あり、又一種蔓生にいよかづら(○○○○○)、一名からすのひるづると呼あり、つる長く草木お纏ふ、葉両対す、形女青(へくそかづら)葉に似て長く毛なく臭気なし、秋梢葉間に小き枝叉お分ち花お開く、徐長卿の花に似て小く、紫黒色角も亦相似たり、又一種短葉の者あり、又一種かもめづる(○○○○○)と呼者あり、池沢辺に多し、いよかづらに似てつる短し、葉間ごとに隻一花ありて微し大なり、是皆白前の類なり、又一種越州白前はやまほとヽぎす(○○○○○○○)なり、古来白前おしらはぎに当るは穏ならず、しらはぎは一名やなぎさう、ひめとらのお、ぬまとらのお、こへまけぐさ、〈江州〉ぬまはぎ、水辺に多あり、春苗お生ず、高さ五六寸或は一二尺、千屈菜(みそはぎ)の葉に似て大く密に互生す、円茎ふとくして赤し、夏茎頭に二三寸の穂お出し、五弁の白花お攅生す、珍珠菜(とらのお)の花に似て小し、後一分余の円実お結ぶ、秋に至て紅色、是救荒本草の星宿菜なり、増、一種紅花の者あり、春宿根より苗お生ず、高二三尺、茎弱くして直立せず、葉茎に両両相対す、葉の形尋常のものより微大にして、長さ三寸、幅一尺五六分にも及ぶ、深緑色にして面背共に毛なし、三四月梢葉間に枝叉お分ち、五弁にして、淡紅色の花お開く、中に黄蕊あり、花後実お結ばず、根は白色にして〓く長し、