[p.0472][p.0473]
傭字例
附録
けにごしけにごしは牽牛子なり、牽字は、韻鏡二十三転先韻にて舌内声なり、牛は、三十七転猶韻の字にて、音ぎゆう、呉音ぐうなり、然るにごといふ音に用るは、万葉集に瞿麦お牛麦と書るは、う韻お略きてぐと呼なり、又普通に鐘楼(しゆうろう)おしゆろうと唱ふる例と同じことにて、また其ぐお通音のこに転じたるなるべし、牛王、牛頭、牛膝等の類ひ准らへ知べし、太田氏雲、猶虞通用にて、牛の呉音ぎゆなり、其ぎゆの切げとなれり雲々、又雲、牛の呉音ごは、富にほ、救にこの音響也といへり、