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重修本草綱目啓蒙
十四/蔓草
兎糸子 ねなしかづら(○○○○○○) うしのさうめん(○○○○○○○)〈江州、つりぶねさうにもこの名あり、〉 むまぐさ(○○○○)〈同上、大豆甫中に此草生ずれば全甫纏ひ枯らす故に名く、〉 さるのはまい(○○○○○○)〈城州玉水〉 さうめんぐさ(○○○○○○)〈東国〉 なつゆき(○○○○)〈佐州〉一名無根藤〈医学正伝〉 藤蘿〈事物異名〉 黄糸草〈先醒斎筆記〉 金線藤〈楊州府志〉 迎陽子〈薬譜〉 狐糸〈酉陽雑俎〉 野狐漿草〈附方〉 鳥麻〈採取月令〉 老禿鶖〈事物異名〉二三月旧子地にあるものより、細糸の如きものお生ず、一頭は地に入て根の如し、其糸一寸余のびて、傍の草木にとりつき纏へば其本枯れ、随て長じ随て枯る、其纏へる所より草木の津液お吸ふ、もし始め傍にとりつくべき草木なければ枯る、其藤漸く蔓延す、始めは白く後は黄白色又黄赤色となる、大さ一分許多く枝お分ち、草木の頂に乱布して、索麪お散するが如し、夏の末花お開き穂おなすこと二三寸、白色にして筒子(つヽざき)様おなし梫木(あせぼ)の花の如にして小し、後実お結ぶ、闊さ一分長さ一分余、熟して褐色微黒内に二子或は三四子あり、これ薬用の兎糸子なり、実熟して蔓黒色になり枯る、始終葉根なし、一種海浜に生ずるものは蔓細く子小なり、今薬舗に売るもの多くはこれなり、