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成形図説
二十五/菜
奴加延〈三代実録◯中略〉紫蘇〈名医別録◯中略〉此もの性湿地お好む、春月種子お布べし、その佳なるものは葉に皺ありて鋸歯深く、表裏紫色なり、俗にこれお縐紗(ちりめん)紫蘇といふ、梅儲(うめつけ)及薬用に此およしとす、よろしく花穂お発せざる内に、その葉お収めとるべし、あるひは地の乾疲(やせ)たるによりて、表青色に変ずるものあり、かヽるものはおのづから芳香も薄し、また一種表裏ともに青色荏葉の如くにし、芳香よろしきものあり、東都の俗にあるひは青紫蘇といふ、按に農甫六書に白蘇といへるもの是にや、〈◯註略〉今薬用のものは、山城、紀伊、相模よりいだす、また東都の官園にて養なふものあり、性味ことにまされり、しかれども民間に希なり、その子は関東にては、武蔵処沢よりいだす、あるひは荏子おもて偽り充るもあり、