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広益地錦抄

薄荷(はつか) 宿根より春生、又たねお蒔てよくはへ出、はやくしげる、葉形は藿香(くはうかう)に似て両対に付、葉のまはりにあらくきざあり、葉の間々より枝多く出る、葉末に花さく、うす白く小細見るにたらず、葉茎に香気有、少しつまみ切れば、香鼻おとほる、又野薄荷(のはつか)は葉ほそながくして、へりに鋸のきざみもなく香気あり、宿根より多く生る、本庄辺に生るは真土(まつち)ゆへにや、香気甚しく竜薄荷にまされり、両種ともに花壇に植べし、眼目かゆくむつかしきに、葉おはりてよし、あきらかにしてすヾしむ、又たばこにきざみ入れて用、口中おすヾしむ、