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東雅
十三/穀蔬
茄子なすび 義詳ならず、倭名抄に註せし所に依らば、なとは中也、すとは酸也、びとは実也、其実の味澀りぬるおいふ也、倭名抄茄子の下に、〓字お附して、崔禹錫食経に、茄子味甘〓といへり、唐韻に〓は醦味也と見ゆ、醦は酢味也、俗にえぐしといふと註せり、〈今俗にえぐしといふは、酸味には同じからず、されど古の時に是お酸澀の味となせしと見えたり、諸家の本草によるに、芋のえぐき、茄子のしぶき、並に澀おもて雲ひけり、〉