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塩尻
九十二
番椒〈とうがらし〉我国是お食する事、百年に過ず、淡婆姑(たばこ)と相前後す、倶に蛮人より伝へ種して、今世に広く食ふ、むかしはもろこしになかりしにや、本草等に見えず、近代明の黄氏が画譜に是お載す、今我国見る所、実の大なる小なる円にしてほうづきの如き、長くしてくこの実の如き、黄なるも紫なるも、種々ありて、愛観すべき物也、