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重修本草綱目啓蒙
十五/蔓草
白英 まるばのほろし(○○○○○○○) まるばのひよどりじやうご(○○○○○○○○○○○○) むまのなんばん(○○○○○○○)〈北国〉 いぬのなんばん(○○○○○○○)〈同上〉 のなんばん(○○○○○)〈越後〉 のごしやう(○○○○○)〈同上〉 つるとうがらし(○○○○○○○)〈大坂〉ほろしと訓ずるは非なり、ほろしは蜀羊泉(ひよどりじやうご)なり、此草は即蜀羊泉の刻欠なきものなり、故にまるばのほろしと雲ふ、山の幽谷又江辺にもあり、春旧根より苗お生じ甚繁延す、藤葉共に毛なし、葉は円長にして尖り互生す、夏花お開き穂おなすこと、蜀羊泉に同して、辺は淡紫色、内は深紫色にして黄心なり、其実亦蜀羊泉に似たり、秋に至り熟して深紅色、その形円なる者あり、微長なる者あり、微長なる者は番椒の形に似たり、故になんばんの名あり、番椒お東北国にてなんばんと呼ぶ、秋深て苗枯る、