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翁草

当代奇覧と題せるものにあらゆる雑談有り、十が一援に拾ふ、寛文の頃迄有し古老の雲く、〈◯中略〉大猶院殿〈◯徳川家光〉御代に、烟草は世の費也とて、堅く御停止に成、江戸町々烟草狩お仰付られ、日本橋の傍に矢来お結、江戸中のきせるお其中へ取捨る、火敷事雲計なし、如此堅御法度なりしが、其後間もなく破れぬと老翁の語き、