本朝世事談綺正誤

器用一

烟管按るに程なく御制禁の弛けりといへるはひがことなり、ひと度御禁しのありしより、今に御免はなきお、つき〴〵ことゆるやかになりもて行しなり、そがゆへにきせるのみ、御用とて名のれる職はあらず、今両国に村田屋といへる喜世留〈◯留下恐脱職字〉も、御飾御用といへるとぞ、また白木屋の事、俗間に伝ふる所のもの、本文にかはれることなし、今現にかの家の印に、〓如此なるものおつくるは、きせるおもて、ふたつうちちがへたるかたちお、かたどりたるものといへり、◯按ずるに烟草百首に、上文白木屋の事お載せて、此れ甚非なり、元和の頃は、下ざまにてきせるお用べき筈なし、羅山文集に合て考べしとあり、