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我衣
宝永の比、鶴と雲名高き比丘尼あり、〈◯中略〉宿は神田にて、同店の裏より出火ありけり、〈◯中略〉御吟味有けるに、一人彼鶴と申比丘尼、朝くはへぎせるして、廁へ行たる由申上る、彼鶴お召して、右くはへぎせる致せしと申者と対決に及ぶ、鶴申ひらき成がたくして火附の科におち、火罪になりたり、〈◯中略〉前々より往還并門外くはへぎせる御停止にてありける、可慎々々、