[p.0581]
春波楼筆記
余江漢曰く、たばこは天正の頃、異人持ち来る、長崎の桜の馬場に之お種え、遂に天下に流行す、此お今思ふに、長崎の者十人あれば、三四人之お吸ふ、京の者十人あれば、七八人之お吸ふ、江戸の者十人あれば、九人之お吸ふ、其吸ふ事甚火し、東奥の人十人にして、十人吸はざる者なし、蝦夷国に至りては之お嚙む、