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採薬使記
中/総州
重康曰、此比総州にてある寺に一宿せしに、十五六歳の沙弥、戯れに曼陀羅花の実お食ひけるが、卒に発熱し、譫語して狂人の如くにて有りしに、色々薬など用ひけれども、暫く癒へず、一夜煩ひ翌朝瀉下してより平愈せり、誠に本草に毒草の部に入たるもむべなり、此所にては木あさがほと雲ふ、江戸にて朝鮮あさがほ、又ちやめら草とも雲ふ、