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倭訓栞
前編三十五/由
ゆふがほ 壺盧也、夕顔の義今俗ゆふごといひ、信濃にてよふがふともいへり、六百番歌合にも、夕露にひもとく花とよめり、枕草子に、夕がほは朝がほに似て、いひつヾけたるおかしかりぬべき姿にて、花のありさまこそいとくちおしけれと雲り、一説にふるき源氏絵などに雲るは、王瓜也といへども、その花夕かげには却てしぼめり、夕がほの雪といへるは花おいへり、