[p.0594]
農業全書
三/菜
狐(ひさご)狐、夕がほとも雲、丸き長き又短きもあり、又ひさくにするは、つる付の方いかにも細長く、末の所丸し、長き方お柄にして水お汲手水のひさくにして、おかしき物なり、唐の許由が木の枝にかけしが、風に鳴たるおむづかしといひし事、つれ〴〵草にも書たり、則此物なり、又丸く大なるは、水お泳ぐに用ゆべし、炭取にし、或器物とし、菜のたねなどお入置てよし、又腰のほど細きは、古より酒器に用ひ来れり、ひさごに苦きと甘きと二色あり、甘き物わかき時色々料理に用ひ、干狐にして賞玩なる物なり、