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源平盛衰記
十五
宇治合戦附頼政最後事平家の方より悪き法師の振舞哉、さのみ一人に多者討れたるこそ安からねとて、しころお傾て、ながへお指出たる兵あり、明春是お見て、面白し、東門五色の熟瓜ぞやとて甲の鉢お打破て、喉笛まで打さかんと打たりけるに、太刀もこらへずして、目貫穴のもとより折にけり、太刀は折たれ共、甲も頭も打破れて、真逆に川中へぞ落にける、