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重修本草綱目啓蒙
二十/蓏菜
冬瓜 かもうり(○○○○) とうがん(○○○○)〈防州〉 とんが(○○○)〈伊州◯中略〉外皮に白毛あり、故にかもうりと雲、かもは氈のことなりと、大和本草に雲り、京師の産は皆形円にして西瓜の如し、他州の者は多くは形長し、伊州には長さ三尺余なるあり、方言江戸とうがんと雲、〈◯中略〉凡そ冬瓜は遅く熟して霜お経る者お良とす、故に冬瓜と名く、然るに今は早く種、早く採るお尚ぶ、故に六七月に多く出す、名実にかなはず、増、附方に、楊氏家蔵方お引て、十種の水気お治するに、大冬瓜一枚蓋お切てさなごお去り、蓋お合し、その合したる所お封じくヽりて、日に乾し、糯糠に大蘿の内にて煨し、火尽て後取出し、焙乾して末とし、梧子の大さに丸し、毎服七十丸、冬瓜子の煎汁にて日に三服す、此方神効あり、京師の一医秘方として、専ら水病お治す、余〈◯小野職孝〉嘗て水腫荏〓として愈へず、已に喘満気急する者に、冬瓜一味お黒焼にして服せしむ、敷十日お経て全癒お得たり、