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小大君集
ちいさきうりのきなるお、おなじ色のかみにつヽみて、あさみつの少将のがりやるお、きヽたがへて、よりひらにとらせたれば、雲のたつうりふの里のおみなべしくちなし色はくひぞわづらふこヽろときめきして、いひたりしかひなければ、かへしもせで、とりかへして、はじめの人のがりやるとて、われかとないひそといひければ、ありどころこまかにいづらしらうりのつらお尋ねて我ならさなん、左近のきみにとのたまへりしかば、われとしられにけりとねたくて、うりどころこヽにはあらじ山城のこまかにしらぬ人なたづねそ