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重修本草綱目啓蒙
二十二/蓏
西瓜 すいくは〈唐音の転なり〉 さいうり〈大坂◯中略〉数種あり、皮深緑色にして、瓤赤く子黒き者は、尋常の西瓜なり、其子未だ熟せざる時は色白し、熟する時は黒し、又黒白斑駁なるあり、珴瑁子(○○○)と雲、奥州津軽には、皮白く瓤黄子赤き者あり、しろ西瓜(○○○○)と呼ぶ、本草原始の月明瓜なり、城州木津には、皮黄にして瓤赤き者あり、木津西瓜(○○○○)と呼ぶ、勢州には皮瓤共に黄色なるあり、下品とす、北伊勢赤堀村の産は、皮瓤黄にして子赤し、上品とす、赤ぼり(○○○)と名く、又九州の産は瓤子共に赤し、又ながすいくは(○○○○○○)は、潤さ五寸許、長さ一尺、皮浅緑色にして越瓜(あさうり)の如し、瓤赤して味佳なり、京師の菜店にて南京と呼ぶ、是西江志の雪瓜なり、時珍の説にも、長至二三尺と雲り、雲州筑州にて南京(○○)と呼ぶ者は、尋常の形にして、皮薄く瓤、に粉ありて、味沙糖の如しと雲う、〈◯中略〉増、桃洞遺筆に、近年讃州より一種の西瓜お出す、しろすいくはと雲、常の西瓜より皮薄く白色にして、瓤子共に紅色なり、味至て甘味にして、常品に勝れり、これ群芳譜西瓜の附録に、北瓜形如西瓜而小、皮色白甚薄、瓤甚紅、亦如西瓜而微小狭長、味甚甘美、与西瓜同時、想亦西瓜別種也と雲、即是なり、所謂月明瓜とは別なりと雲へり、