大和本草

六/薬

忍冬　諸のかつら皆右にまとふ、隻忍冬のかつら左にまく、故に左纏藤と雲、花開く時白し、二三日おへて黄に変ず、故金銀花と雲、四月に花おとり陰乾にす、茎葉は時に不拘とりてかげ干にす、茎葉花性同、一切の腫物諸瘡久不愈に煎じ服す、甚妙なり、腫物久しくして穴あき漏となり、常に膿汁出、或不出して久不愈に、酒に浸して日にほし為末服す、或挫て煎服す、久用ゆべし必効あり、悪瘡など久く不愈に、日々煎服して効あり、真に妙薬と雲べし、屡験あり、試用て得効たる人多し、其外功能多し、本草にみえたり、至賤薬至貴の功あり、或茶にかへて煎じ服す、久しく服すれば益あり、花も茶に加へて服す香よし、又生乾ともに煮て豆油(しやうゆ)に和し食すべし、