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大和本草
六/薬
地黄 生熟ともに肥大なるお可用、熟は生地黄お吾家にて蒸すべし、薬四より来お必不可用、好酒に砂仁の末お入拌て、地黄お不刻して浸し、柳甑にかけ、陶釜にて度々蒸すべし、鉄鍋にて不可蒸、今日蒸し冷へて後、明日又右の砂仁酒にひたし蒸べし、一日の内にてもよく冷て後蒸べし、蒸後竹刀にて刻み焙る、生地黄は刻て酒にひたし、日に乾して炒る、或生薑汁に浸して炒る事あり、和地黄の上品は大和より出づ、唐より来るにまされり、大和に地黄村あり多く産す、これおうふるに下湿の地おいむ、上にあくたあるおいむ、又新糞お忌む、間遠くうへて、其間に久しき糞水おそヽぐべし、甚繁昌す、生なるおつきしぼり、汁おこしとり、土なべにて煮て膏とするは性最よし、