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重修本草綱目啓蒙
八/山草
黄芩 やまひひらぎ(○○○○○○)〈延喜式〉 こがねやなぎ(○○○○○○)〈種樹家〉 今は通名 一名枯腸〈事物異名〉 裏腐草〈採取月令〉 裏朽斤草〈同上〉 裏朽草〈村家方〉 枯黄岑〈遵生八揃〉 片黄芩〈医学正伝〉 枯芩〈本草原始〉 子芩一名〓〓〈正字通〉 条黄芩〈遵生八揃〉 実岑〈薬性要略大全〉市中に販ぐところ三品あり、唐朝鮮真なり、唐お上品とす、軽して色黄黒味最苦し、その色くろみの多き者おしんちうでと雲ふ、是老根なり、釈名に老根嫩根の名お別つ、前に出す八名は皆老根なり、形大にして内虚す、後に列する四名は皆嫩根なり、形細長にして内実す、これお薬舗にて軸様(ぢくで)と雲、朝鮮は唐より黄色鮮かにして堅実、苦味うすし、故に下品とす、朝鮮の中にも唐様と呼ものは、形色混じやすし、此亦苦味うすし、その真の黄芩と呼ぶ者は、即朝鮮の種お栽るものなり、和州宇陀より出す、根色鮮なれども、苦味うすくして脂多し、最下品なり、其苗高さ二三尺一根に叢生す、葉は千屈菜の葉に似て毛茸あり、両対す、秋に至り茎末に穂おなす、長さ四五寸、花の長さ一寸許、本は細筒にして端は五弁に分れ、こらせうもんの花の如にして紫色なり、又淡紫色、又青色お帯るもの、又白色あり、白色のものは希なり、花後蕚中に四の小黒子あり、子熟して苗枯る、子お種て生じやすし、根は年お経て枯れず、然れども久ものは内腐て枯れ易し、又一種古より和の黄芩(○○○○)と呼来る草あり、さヽやきぐさとも、ちやんばぎくとも雲、是博落廻なり、毒草類萆麻の附録に出、その根の形色微黄芩に似たり、故に薬四にて黄芩に雑ゆ、これおさしこみと称す、此草は山中に多し、根は肥大にして蠹蛀して、内空になりたるもあり、然れども此根は極て乾すと雖ども猶軟なり、黄芩の堅脆なるに異なり、