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重修本草綱目啓蒙
十五/蔓草
威霊仙〈◯中略〉又一種草本の者(○○○○)は蘇容の説くところの威霊仙なり、和名くがいさう(○○○○○○○)或はくかいさう(○○○○○)とも雲ふ、一名とらのお、〈越前〉やまつヽみ、〈佐州〉くるまさんしち、〈花戸〉此草人家に多く栽ゆ、春旧根より叢生す、茎円にして高さ一二尺、葉は形長くして細鋸歯あり、鳳仙葉(つまくれないの)に似て厚く深緑色、五葉ごとに節に対生し層おなす、肥たる者は十二三層、小なる者は八九層、故にくかいさうと名く、夏月茎梢に長穂お出す、六七寸許、小花密に綴り、淡紫碧色、後小尖莢お結ぶ、根は短して黄褐微黒、一種江州伊吹山に産する者は、茎短く葉も亦短し、六七葉或は二三葉対生し、或は互生し、斉からず、又一種奥州南部津軽より出る者は、茎葉に毛茸あり、花穂扁く或は穂おなさず、花小にして色浅し、其根細長一尺許、浅黄褐微黒お帯ぶ、