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重修本草綱目啓蒙
七/山草
桔梗 ありのひふき(○○○○○○)〈和名抄〉 ありのひあふぎ(○○○○○○○) おかとヽき(○○○○○)〈古歌〉 ひとえぐさ(○○○○○)〈同上〉 きちかう(○○○○) 仏吉草〈和方書〉 くはんさう(○○○○○)〈信州〉 せいねい(○○○○)〈江州〉 今は通名きヽやう(○○○○) 一吉祥杵〈輟耕録〉 䓀莄〈訓蒙字〓〉 都乙羅叱〈郷薬本草〉 道乙阿叱〈村家方〉山中に自生多し、向陽の地に生ず、大抵沙参の形状に似て毛なく白色お帯ぶ、これお断ば白汁あり、円茎高さ三五尺、葉は楕にして細鋸歯あり互生す、或は二三葉相対す、六月以後茎頂に花お開く、肥たるものは葉間ごとに開く、単弁藍紫色お常とす、その品一ならず、形に単重千葉団扁の分あり、色に深藍浅藍黄白間色の別あり、重葉なる者に紫二重白二重二重仙台牡丹桔梗あり、千葉なる者に紫白あり、扁なる者は摺扇(あふぎ)桔梗と呼ぶ、深藍浅藍の二品あり、並に千葉にして形圧し、扁めたるが如く、茎亦扁し、黄なるものは浅黄色、又かきいろと呼ぶあり、単弁重弁の二品あり、間色なる者は白花紫点仙台桔梗と呼ぶ、又南京桔梗あり、又単葉にして筒おなさヾるものあり、紋桔梗と呼ぶ、此数品皆花戸の重ずるところなり、薬には常品お用て良とす、