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伊勢物語

むかしなま心ある女有けり、男ちかう有けり、女歌よむ人なりければ心みんとて菊の花のうつろへるお折て、おとこのもとへやる、くれないに匂ふはいづら白菊の枝もとおおにふるかとも見ゆ、おとこしらずよみによみける、紅に匂ふがうへのしら菊はおりける人のそでかとも見ゆ