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続世継
八/ふし柴
鳥羽院くらいの御ときに、大将殿〈◯源有仁〉きくおほりにやりて、たてまつり給けるに、うすやうにかきたるふみのむすびつけてみえければ、みかど御らんじつけて、かれはなにぞ、とりてまいれと、くら人におほせられけるに、おほい殿は、ふと心えていろもかはりて、うつぶしめになりたまへりけるほどに、みかどひろげて御らんじければ、こヽのへにうつろひぬとも菊の花もとのまがきお忘ざらなんとぞありける、きさい〈◯待賢門院〉の御あねにおはすれば、とき〴〵まいりかよひ給につけつヽ、しのびてきこえ給ことなども、おはしけるなるべし、