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甲子夜話
四十一
林子曰、この十月の事なりし水戸参議どのより、園菊の花お庭製の花斗に挿して、〈後楽園中にて各種の楽焼お作らる〉昔朱俊水の菊苗お乞し書付お新刻せられ、石摺の四石お占金し、上包の表墨流し、裏青無地の鳥子紙二枚にして、紫の打緒お以て結たるお副て占りける、参議どのヽ雅懐には感奉りぬ、中々普通の詩や歌よりも遥に意表に出たることなりし、但その菊花四品とも皆朱氏の書付に見ゆる、各種ばかりお挿れたり、真に面白きことにぞありき、かの新刻の文、去年秋承殿様所允菊種、今已及時、可転㆚懇管理苑囿奉行㆙求数茎、今将其名色開具、分栽之日、幸惟廩明査発為感、一金菊〈老黄〉 〈花大而円〉 〈幹長枝勁者為金菊〉  一粉紅鶴〓〈淡紅而花大者〉  一鵝黄剪〓〈淡黄花不甚大而色媚者〉 一白剪絨〈花小如銭、花弁細如絨線者、〉二月二十四日 朱之瑜 白