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嬉遊笑覧
十二/草木
江戸巣鴨の花戸、年毎に菊お作る、花壇七八間ばかりにして家ごとに作る、中菊にてありしが、文化の初大作りとて、一本の菊にて鳥獣山水種々の物お作り、後には百姓商人までも作りて、文化十年の頃は、処々に是お学びて作れり、遊観の人群集したりしが、其後漸く衰へて止たり、〈今はもとの花壇作りのみなり、彼種々の作り物は、費かヽる程利分なしとなり、〉