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奥義抄

そがきくは黄菊なり、承和のみかどは、よろづの物きなる色おめでたまひて、菊もきなるお愛したまひける也、されば承和菊と黄なるおいふ也、或物には、一本菊おいふ也、さればこそしげみさえだとは、よみたれとはいへれど、一本きくならずとも、えだなかるべきやうなし、又黄菊の一本ぎくにてありけるお、みてもよめりけん、みぎのことばにつきて、一本菊といふべきにあらず、色のてこらさとは、いろのてりこきさまおよめり、しげみさえだとは、しやしたえと雲也、