[p.0710]
東雅
十五/草卉
蓬よもぎ 倭名抄に兼名苑本草等お引て、蓬一名篳よもぎ、艾一名医草と註せり、これも其名の相同じきに因りて併註したるなり、蓬と艾と一物にはあらず、蓬は詩の集伝に、其華柳絮の如くにして、聚而飛如乱髪といふもの即此也、其苗葉は瞿麦の如くにして、花形菊花のいまだ開かざるが如し、既に展き尽しぬれば、柳絮の如く飛ぶなり、艾は即今俗にもぐさといふもの是也、よもぎといふ義不詳、もぐさとは燃草(もえぐさ)也、万葉集抄にはもとはもゆるといふ詞なり、よもぎおもぐさといふが如しと即此也、