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重修本草綱目啓蒙
十/湿草
大薊小薊 やまあざみ(○○○○○)〈大薊〉 野あざみ(○○○○)〈小薊◯中略〉凡そ大薊小薊は、形の大小お以て分つに非ず、山野お以て別つべし、小薊も肥地にて培養するものは、長大四五尺に至、大薊も瘠壌に生ずる者は、短小尺に盈ず、故に山生の者お大薊とし、野生の者お小薊とするの説お優とす、その種各別なり、大和本草に、大薊おおにあざみ、おにのまゆはきと訓ずるは、飛廉に混じてあしヽ、山あざみと訓ずべし、大薊は山中に生じ、殊に幽谷に多し、葉形大抵小薊に同くして、刺多く白斑紋あり、故に虎薊の名あり、苗高さ三四尺許、八九月花お開く、形小薊花より小く、唯淡紫色のみ、茎に多く連りて、小薊の一枝一花にして大なるに異なり、小薊は原野に多く生ず、のあざみと呼ぶ、茎葉に刺多し、淡紫花のもの多し、深紫花のものは少し、今庭に栽て花お賞する者おはなあざみと雲、又まゆはきと雲、是も小薊なり、種樹家には数十品あり、尋常の外に白花あり、花白して形大なるあり、富士の雪と雲、桜花の色に似たるあり、さくらあざみと雲、白色にして辺紅なるあり、つまくれないと雲、又つまむらさきもあり、黄褐色なるあり、かき色と雲、其色浅きあり、あけぼのと雲、紅色のものあり、べにふでと雲、淡紫色のものあり、うすヾみと雲、紫色なるあり、春日野と雲、深紫紅色のものあり、くろべにと雲、其余異品多し、