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重修本草綱目啓蒙
十九/柔滑
蒲公英 ふぢな(○○○)〈和名抄〉 たな(○○)〈同上、古名、〉 たんぽぽ(○○○○) くちな(○○○)〈信州〉 むぢな(○○○)〈勢州〉 ぐちな(○○○)〈奥州〉 ぐちぐちな(○○○○○)〈佐渡〉 ごやじ(○○○)〈同上〉 つヾみぐさ(○○○○○)〈越中◯中略〉原野路傍に甚多し、然れども、紀州熊野には自生なし、広東新語にも、嶺南には生ぜざることお雲り、葉は冬より盛に生じ、地に就て叢生す、形苦葉(のげし)の葉に似て小く、薺葉に似て大なり、切れば白汁お出す、春時煮食ふ、二三月円茎お出す、肥たる者は数十茎、瘠たる者は数茎、高さ五寸許、内空し、頂に一花お開く、単葉菊花の如く、黄色後白絮おなし、風に随て飛ぶ、根は冬お経て枯ず、一種筒弁(つヽしべ/○○)の(/○)者(○)あり、千弁にして実お結ばず、又一種白花なる者(○○○○○)野生希なり、葉長大、花も亦大なり、茎の高さ一二尺に至る、一種緑花の者(○○○○)は極めて希なり、花万葉にして緑色実お結ばず、苗の形は尋常の者に同じ、一種むらさきたんぽぽ(○○○○○○○○)と呼ぶあり、一名やりぐさ〈勢州〉せんぼんやり、〈加州〉山中陰地に生ず、葉は闊く厚して尖りなく、背に白毛あり、花小くして浅紫色、又内浅紫、外紫赤色、又白花のものあり、花後褐絮おなし、帚形の如し、茎に白毛あり、是集解に謂ゆる大丁草、一名焼金草なり、