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倭訓栞
中編二十/波
はヽこ 文徳実録に母子草と見えたり、鼠麹草なり、今はふこといふ是なり、和名抄に菴蘆子お訓ずれど別物なるべし、三月三日の雛遊に、はふこお祭り、此日鼠〓汁にて糕お造る事も、文徳実録に見え、竜舌〓といふも、荊楚歳時記に出たれば、此草おもはヽこ草とよべる成べし、よて又もちよもぎともいふとぞ、今はもはら艾蒿お用う、遠江にちヽぐさ、信濃にかはちちこ、尾張にとうこ、上総にかうじばな、宇都宮にねばりもちといふ、俗に河原はヽこと呼ものは白蒿なり、和名抄に白蒿一名蘩皤蒿と見えたれば、此音おもてはヽこと呼にや、