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物類品隲
三/草
白朮 和名おけら、上古蒼白朮お分たず、後世分之、弘景曰、白朮葉大有毛而作椏、根甜而少膏、赤朮葉細無毛根小苦而多膏と、此説二朮の形状お説こと甚明なり、然るに東璧三五叉の物お蒼朮とするは大なる誤なり、白朮処処山中に産するもの、葉五叉のものあり、三叉のものあり、多は花白色又紅花のものあり、皆下品なり、漢産上品、享保中種子お伝ふ、葉五椏にして毛あり、形甚肥大、花紅色にして大薊花のごとく、根仏掌蕷(つくねいも)に似たり、此物実お植て能く生ず、又根お切て植れば尽く芽お生ず、一両年にして掘取べし、数年お経たるもの重さ数斤に至る、蒼朮 一名赤朮、是亦処処に産す、葉に椏なく、花白色又紅花のものあり皆下品なり、漢種上品、享保中種子お伝ふ、大抵和産のものに似たり、嫩葉には綿のごときものあり、花は白色にして根の味香烈なり、此物実お植て生じがたし、根お分つこと、白朮のごとくにして長じ易し、